2007年6月8日金曜日

Web2.0時代の個人とコラボレーション

Web2.0は、個人の活動の集積として価値あるコンテンツが生成されるという思想が前提となっている。これらの環境の中で、個々のユーザはどのように振る舞い他者との関係性を構築しているのだろうか?本稿では、ユーザの関係性とネットワークという視点から、Web2.0の代表的な例であるブログやSNS,ソーシャルブックマークにおけるユーザのネットワークに関する研究動向を述べる。社会ネットワーク分析や複雑ネットワークという研究分野と関連して多くの研究が行われているが、こういった研究は、Web2.0を理解し今後の展望を考える上で、サービスの提供者にとってもユーザにとっても重要な知見を提供するものである。

社会ネットワーク分析と複雑ネットワーク

数年前から、スケールフリーやスモールワールドなどで知られる複雑ネットワークが着目を集めている。スモールワールドネットワークは典型的には小さなクラスタが少数のリンクでつながれた形をしているもので、 スケールフリーネットワークはノードの次数(いくつのエッジを持っているか)の分布がベキ則(P(K) = kのーr乗) (rは定数)に従うというもので、極端に次数の大きいノードが少数存在するが、ほとんどは次数の小さいノードである。また社会ネットワーク分析では、大きく2つのタイプのネットワークデータを扱う。一つはノード同士の直接的な関係による隣接関係を行列で表した(Adjacent matrix)であり (誰と誰が知り合いかなど)、もう一つは誰と誰の興味が近いか?や誰がどの複数グループに属しているかなどの関係を行列に表した(Affiliation Matrix)である。こうした2種類の関係を用いるとWeb2.0に関わるの様々なユーザをネットワークとして捉えることができる。

Adjacent matrix(知り合い関係)

太郎

花子 

純一

正弘

慶介

太郎

0

1

0

0

0

花子

1

0

1

0

0

純一

0

1

0

1

1

正弘

0

0

1

0

1

慶介

0

0

1

1

0

Affiliation matrix(人と興味)

Web

音楽

スポーツ

TV

ラジオ

太郎

1

1

1

0

0

花子

1

0

0

0

0

純一

1

0

0

0

0

正弘

1

1

1

1

1

慶介

1

1

1

0

1

ユーザのつながりの分析
日本ではmixiの分析が2005年2月時点のデータを用いて行われている。当時の36万ノード、190万リンクについて調査し、知り合い数がr=2.80のベキ分布であること、次数平均(マイミク数の平均)が10.4であり6ホップで96%をカバーする小さな世界であること、クラスタ数Cが0.328であり凝集性の高いネットワークであることなどが報告されている。また知り合い関係をGNアルゴリズムという方法でクラスタ化していくと、比較的t小規模のクラスタ群と大規模のクラスタ群に2分され、その中間領域が欠けている事を興味深い発見として述べている。mixiでは自分の周りのクラスタのサイズが徐々に成長していくが、あるときに急激に成長がスキップするわけである。この一般性や含意についてはまだ不明な点も多いが、SNSの何かの性質を示しているものかもしれない。またFOAFの分析でもknows(知り合い関係)の分布はベキ分布となり、その分散性はWeb2.0的であるといえ、今後はユーザプロファイル管理の仕組みの成長とともに重要性を増してくると考えられる。
ここで紹介した研究はいずれもWeb上での人のネットワークのスケールフリー性を示すものであるが、これが意味するところは何であろうか?ここで重要なのは多くの人から支持される一部の人だけではなく、ロングテールの部分の人同士のコミュニケーションを促進する仕組みがSNSやブログにはあるということである。個々のユーザにとって、一部のスーパーノードの質の高い情報も価値があるが、それにも劣らず自分の周りにいる人の日々の雑多な情報も価値がある。We2.0で議論されるロングテールはスケールフリーネットワークとは本来直接のつながりはないが、実はWebにおけるユーザのネットワークを間に介することで密接に関係している。
情報の伝播モデル:口コミとブログ
ユーザのネットワークがあるとして、その上で情報はどのように伝播していくのだろうか?この分析に関する研究をいくつか紹介する
B.HubermanらはAmazon.comでの本やDVDの商品の推薦がどのように伝播していくかを分析している。その結果次のようなことがわかった
  1. 2人の間でインタラクションが多くなると推薦はきかなくなる。
  2. 推薦を受け入れる確率は、推薦してくれる人の数が増えると急激に増えるがすぐに飽和する。
  3. 次数の高いスーパーノードがあるが、影響力には限界がある。たくさん推薦する人のことはあまり聞かなくなるからである。
  4. 推薦の効果はカテゴリや値段に影響される。

ここで描きだしているのは、ネットワークとしてつながれた個々が互いに影響しあいながら情報が広がっていくモデルである。またRichardsonらは、1人のユーザが他のユーザの購買にどのくらい影響を持つかを数値化して、そのユーザの"network value"を計算する確率モデルを提案している。またブログ上での情報がどのように伝播していくかを研究しているものも数多くある。いずれの研究でも、モデル化の基礎となっているのはユーザが情報を得て、それによって他の人に情報を伝播させる力を持つという状況である。こうした情報の伝播の性質が今後の研究でさらに明らかにされれば、ユーザにとってより心地の良い、効率的な情報環境の構築につながっていくと考えられる。

コミュニティの形成

最近の研究ではLive Journalのコミュニティ機能について分析したものがある。ゆーざは、自分が入るコミュニティをどう決めているのだろうか?それを予測するモデルを学習した結果

・自分の知り合いの中で、そのコミュニティにすでに入っている数が多ければ、ユーザがそのコミュニティに入る確率が高まる。

ということがわかった。これは、ほとんど自明である。面白いのは

・そのコミュニティにすでに入っている知り合い同士が知り合いであると、そのコミュニティに入る確率が高まる。

というものである。自分の知り合いのうち2人があるコミュニティに入っているとすると、その2人が知り合いでない場合より知り合い同士の場合のほうがそのコミュニティに引き込まれやすいわけである。また安田らはmixiの分析の中で入り口の役割を果たす巨大なコミュニティと、そこから先の徐々にマニアックになる系列コミュニティという生態系が形成されることを発見した。またGoogleの研究者らはOrkutというSNSにおけるコミュニティの推薦について調べている。特定のコミュニティに対してどういうコミュニティを進めればユーザは受け入れられるかというものである。

ソーシャルブックマーク分析

ソーシャルブックマーク(SB)では、世界をどのように分類するか、その分類がコミュニケーションを通じてどのように共有されるのかという言語学や人工知能で重要なテーマを含んでいる。世界の分類はある種のちしきであり、タグ付けのような簡単な仕組みによって実現さればSBにより語彙が構築されていく様子を俯瞰できるのは興味深い。

検索エンジン、そして今後のWeb技術

さて、Web2.0の様々な現象は、検索エンジンにより適切な情報が探せるようになったという部分に依拠するところが大きい。検索エンジンで探してもらえるからWikipediaには人が来るのでるし、質の高いブログを書く人がいる。検索エンジンは今後ますますインフラ化するだろう。また今後はエンティティ間の関係をより捉えた技術がより重要であるし、発展するだろうと思われる。

参考 IPSJ Magazine Vol47 No.11 Nov.2006

ロングテールはマーケティングをどう変えるか?

ロングテールはマーケティングをどう変えるか?

ロングテールとは何か?

ロングテールとは従来のように売り上げが集中した市場(売り上げ分布の頭の部分)ではなく、個々の売り上げは小さいが広範囲に分散する市場をターゲットとした、新たなビジネスモデルの提案である。製品を横軸に、売り上げ個数を縦軸にしたグラフを書いたときこのグラフは右に非常に長く続くことになる。この非常に長く続く製品群をターゲットとしたものがロングテールビジネスである。ちりも積もればなんとやらである。例えばAmazonはロングテール部分に当たる売り上げが13万以下の順位の製品から全体のほぼ3分の1の利益を得ていると聞いたことがある。もちろんこれはインターネット上だから実現可能であることであり店舗を持つ実世界では扱いようのないことである。今まで売り上げに貢献しなかったような製品を取り扱えるようになったという点でロングテールは画期的である。ロングテールの代表例としてのもう一つ典型例はグーグルの検索連動広告である。GoogleAdwardsは今まで広告なんて出せなかったような小さな店などに対して広告を出すことの敷居を限りなくさげ、またAdsenseにより一般の個人までもが広告により収入を得られるようになった。これはロングテールのテール部の広告主とテール部の広告掲載主である個人をうまいこと狙ったビジネスモデルであるといえる。

ロングテールの前提を問う

ロングテールを確率統計的モデルとして捕らえたときどのような確率分布に従うかという問題があるが、今までの研究はほとんどリアルワールドで行われている購買行為を対象としているため、それをネットの世界にも適用するのは適切ではない。リアルワールドではすでに扱える製品の種類に限りがあるため既にテール部が切り捨てられているからである。テールの先にどのような需要が隠れているのか、それはどのような確率モデルに従うのかは今解明されつつある。

顧客側のロングテール

ロングテールのビジネスモデルが成り立つには、供給側の条件としては対品種少量生産とその流通管理が低コストで実現することが絶対的に必要である。いうまでもなくそれが実現しやすいのはソフトウェアや音楽、映像のような、完全にディジタル化された製品である。しかしこれはどちらかというと、生産流通面だけに注目した議論であり、マーケティング面の条件についても考える必要がある。それは、顧客別の需要の分布はどうなっているかという問題である。そこでマーケターは近年、パレート図を製品単位だけでなく、顧客単位に作るようになってきた、すなわち、製品を単位とした場合と同様、顧客ごとの売り上げを計算し、顧客を左から右へとその順に並べ、そうして描かれた顧客のパレート図から例えば上位20%の顧客が全売り上げの何パーセントをもたらしているかが読み取れる。これは近年のデータベースシステムの発展により最近になって可能になってきたのである。これによるとやはり製品と同様顧客についても製品と同様のべき乗分布、すなわち一部の優良顧客が売り上げのほとんどを占めているということになる。しかしこのような顧客ほど経験が豊富になりテール部の製品を買うのではないかという仮説があり、これが正しいとするとテール部分の製品を扱うインセンティブは高くなる。マーケティングや消費者行動の研究で、時間や経験によって消費者選考の多様性がどう変化するかはさほど研究されてこなかった。今後、実際のデータを用いてこれらの論点が掘り下げられることを期待したい。

無数の選択肢からの選択問題

ロングテールのビジネスのもとでは、マーケティングリサーチのあり方が大きく変わるかもしれない、極論すれば、需要予測は不要になる可能性がある。なぜなら、ロングテール論が主張するように個々の製品の追加的な生産費用や在庫費用が限りなく小さいなら、それらの製品は発注があり次第すぐに生産するか在庫から出荷すればよく、その需要を事前に把握する必要がないからである。しかしミクロな需要予測に用いられる消費者選択問題は依然として必要になる。消費者選択モデルとは、有限個の選択肢から、どの選択肢が選択されるかを予測する手法である。売れそうな製品をレコメンデーションできれば売り上げは高くなるはずである。推薦モデルとしては協調フィルタリングを用いることが考えられており、すでに実用化も進んでいる。しかし協調フィルタリングには製品別分布のテール部分のように過去の購買者が少ない製品については情報不足し、信頼性のある推奨をするのが難しいということである。無数に近いニッチ製品の推奨をどう行うかは、今後に残された大きな課題である。

最後に

ロングテールのビジネスモデルが広がると、マーケティングやマーケティング・リサーチのあり方は大きく変容を迫られるのは間違いない。本稿は、それにかかわる論点の本の一部しか言及していない。例えば、ブランド、製品開発、価格設定、プロモーション、流通、といったマーケティングの幅広い領域にロングテールのビジネスモデルがどのような影響を与えるかについて、より幅広く、かつ奥深い議論が今後起きるであろうし、そうなることを期待したい。

参考 IPSJ Magazine Vol47 No.11 Nov.2006

Web2.0と集合知

Web2.0と集合知

複数のユーザの意見から作り出されるコンテンツや知識を集合知というが本稿ではWebにおける集合知の現状を概説し、その可能性について述べる。

群集の英知

集団による意思決定は多くの場合において極端な方向に傾くことが指摘されているが、個人の限界を突破するためにはやはり集合知が求められる。集合知が適切に機能している事例に共通する性質として以下の4つを挙げている

  • 多様性
    各参加者がそれぞれに独自の視点を持っていれば、総体として多くの候補解を列挙することができる。探索空間が狭い場合には、その探索空間内に適切な解が存在しない可能性がある
  • 独立性
    各参加者の持つ意見や提案が他の参加者の影響を受けないよう、各参加者の独立性が確保されている必要がある。特に小集団で議論を行う場合には多様性が低いために偏った結論に集約される危険性がある。
  • 分散性
    問題を抽象化せず、各参加者が直接得られる情報に基づいて判断する必要がある。参加者ごとに得られる情報の種類は異なると予想されるが多様性を維持するためにも、各参加者に共通する属性のみで判断すべきでない。
  • 集約性
    上記3点の特性を活かして得られた知識を参加者全体で共有して、比較検討して最終的な結論を導く仕組みが必要である。

このように、集合知の実現には、他の影響を受けない状態でのローカルな知識の生成メカニズムと、それらを集約するメカニズムの両方がひつようである。

WEBナビゲーションと集合知
グーグルのPageRankはハイパーリンク構造を用いてうまい具合に集合知を間接的に利用しているといえる。しかし今日では検索エンジンだけでは解決できない問題、例えばブログにおいては更新直後の情報の発見が重要となるが、新しいものほど被リンクが少ないことや、リンク構造分析の計算コストの問題によって、そういったページの評価が上がりにくいなどがある。

人力検索とソーシャルタギング

このような要求に対応すべく、集合知を活かしたナビゲーション実現システムが次々と生まれている。これらはリンク構造分析による評価に見られるようなコンテンツの書き手同士の相互評価ではなく、読み手による評価を利用するところに特徴がある。参加者が質問し、別の参加者がそれに答える、いわゆる「人力検索」と呼ばれるサービスはその一例である。これは質問者は、自然文で知りたい事柄を提示し、回答者は該当すると思われるサイトのリンクを示しながら回答する。優れた回答には得点をつけるなど、継続へのインセンティブがあるためあらゆる分野の質問に答えられるだけの参加者を獲得し、実用的なサービスとして定着しつつある。またソーシャルブックマークといってブックマークを共有し、ブックマークが多いページを優先して画面に表示しようとすることも実用化されている。また集合知を利用したナビゲーションサービスに特有の機能としてソーシャルタギングというものがある。youtubeなどで見られる自由にユーザが付けられる言語符号のことである。

フォークソノミー

ソーシャルタギングによって得られたタグの集合は、フォークソノミーと呼ばれる。しかしソーシャルタギングによって作られたフォークソノミーはそれぞれのタグの間に関連性がなく、このままではタクソノミーの代替物として他の目的のために再利用することが極めて難しい、そこで、単語間に関係を導入するために、タギングが行われる際に複数のタグを入力可能であることを利用して、タグの共起関係から統計的に関係を計算する手法が使われる。さらに、タグの分布の包含関係から上位ー下位関係を導くなどより精度の高い体系の自動構築は重要な研究トピックの1つになりつつある。多くの課題があるが多くの参加者が主体的にメタデータを付加するような状況は過去に例を見ない。この状況を活用して、参加者にとってより有用なシステムを構築することが求められる。

コミュニティと集合知

体系化された知識をWebに集積する試みの中で、最も成功したものがWikipedia、またLinuxをはじめとするオープンソースソフトウェアの開発は、インターネット上で最も成功した協調型プロジェクトの1つである。これらはボランティアによる運営にも関わらず企業で開発されるプロジェクトにまったく引けを取らないレベルまで達しているといえる。

予測市場

はてなアイデアのように仮想的な市場の仕組を使って、ユーザーから要望や不具合報告を効率的に得ることを目的としたサービスなどがあり、要望が低いものは自然淘汰されていき、要望が強いものが残っていく。これにより優良な意見を発掘しようとするのである。

総表現社会と集合知

ウェブ進化論ではWebの進歩によって誰もが表現の機会を与えられる、「総表現社会」の実現可能性について議論されている。すでに、ブログやSNSを利用した表現活動、コミュニケーション活動は本格的な普及の段階にあり、この傾向は今後も続くものと思われる。表現形式についても多様化が進み、テキストだけではなく、画像、音声、映像を用いた表現を容易に作成、公開することが可能になった。その中で、個々の表現活動が関連し合い、あたかも集団で大規模な創作活動が行われているように見える現象が生まれている。また、このような現象を明確に意識した集合的表現の活動や、それらを支援するシステムが作られている。NOTA,Willustrator,CreativeCommonなど多くの試みがある。

参加のアーキテクチャ

本稿では、Web上に存在する集合知の事例をいくつか取り上げた、集合知には自己組織的に生み出されるものもあれば、参加者間の共同作業によって得られるものもあり、一律に定義することはできない。これらに共通するのは「参加のアーキテクチャ」が適切に設計され、多くの参加者を巻き込んだ結果である、という1点である。参加のアーキテクチャを設計するにあたっては、その目的に応じて参加者の役割やコミュニケーションの方法を決める必要がある。参加者の独立性をどのように確保するかや、権限管理の有無など、検討すべき項目は多い、最終的には、参加者をどの程度信頼するかという、人間そのものに対する洞察も必要となる、信頼はその定義上投機的なものであるため、何らかのシステムによって自動的に解決するものではない、性善説にのみ依拠するのではなく、コミュニティに貢献することが最もコストの低い状態になるようにシステムおよび精度の設計を行うことが重要である。様々な課題はあるが、集合知は適材適所で大きな力を発揮する。最近では、集合知を積極的に利用として問題解決を図るという意味の「クラウドソーシング」という言葉も生まれており、今後様々な応用が出てくることが期待される。

参考 IPSJ Magazine Vol47 No.11 Nov.2006

2007年6月7日木曜日

Web2.0の情報アーキテクチャ

Web2.0の情報アーキテクチャ

Web2.0を支える技術トピック
本稿ではWeb2.0的なサービス、製品を実現するための具体的な技術に焦点を当てていく

ブログとRSS/Atomの普及

企業や組織が作成したページを閲覧するパブリッシング型から、利用者自らが情報を発信していく参加型への移行

検索APIを提供するWebサービス

GoogleやYahoo!は、人間でなくアプリケーションプログラムからも同様に検索サービスを利用できるAPIを公開している。ただしアプリケーションごとに1日に検索できるクエリ数が制限される運用となっている。GoogleはSOAP /WSDL (WEB Services Description Language)ベースの検索APIを、Yahoo!はRESTベースの検索APIをそれぞれ提供する。Amazonでは書籍用のISBNコード に加えて、自社サイトで扱うすべての商品に付与してASINコード(amazon standard identification number)を提供する。

Ajaxの浸透と発展

Rich User Experiencesを最大化するための技術要素としてAjaxが重要となっている。これは以下の技術の組み合わせであると定義されている。

  1. XHTMLおよびCSSを利用した標準に基づく表現
  2. DOM を利用した動的表示とインタラクション
  3. XMLおよびXSLT(XMLによって記述された文書を他のXML文書に変換するための簡易言語。)を利用したデータ交換や操作
  4. XMLHttpRequestを利用した非同期データ取得
  5. それらすべてを結びつけるJavaScript

XMLHttpRequestとはJavaScriptでWebブラウザ~サーバ間の非同期通信の機能を提供するクラスである。またAjaxの浸透によりJavaScriptの重要度が再確認されてきたためJavaScriptライブラリの充実が行われている。

XMLを補完するJSONフォーマット

XMLほどの厳密性がそれほど必要とされない分野で活躍できるという意味でJSON(JavaScript Object Notation)が脚光を浴びつつある。XMLの持つすべての機能をJSONで再現できるわけではないが、JavaScriptを利用したWebアプリケーション実装において必要となるデータはすべてJSON形式で表現することが可能である。これにより冗長なXMLコードを生成する必要がなくなる。

万年β版ソフトウェアとテスト

ソフトウェアをパッケージ販売することよりもWebからダウンロードすることが増えてきている。それによるメリットとしては、更新した場合新たなパッケージを買う必要などなく更新プログラムをダウンロードしてくるだけで済む。またユーザとのWebでのインタラクションなどによりさらに良いサービスが提供できる機会が増えるなどがある。βというフレーズはテストの段階を表すための言葉ではなく、単にサービスの鮮度を表すために利用されることが多い。

軽量プログラミングモデルと疎結合

RSSやRESTベースのシステムを導入する際のキーワードとして疎結合が挙げられる。従来型の企業システムに見られたような密結合した複数システム間の調整は避け、各システムが緩やかに連携する運用を実現する。API使用に沿う限り、システム環境やプログラムの開発言語は問われないためどの言語でも自由な開発ができる。しかし、実装が優先され、詳細な使用の明文化が足りないも多くなり、相互運用性の確保が徐々に難しくなってきている。

マッシュアップと今後のアーキテクチャ

企業がAPIを公開する場合が増えてきたが、それは第三者に新たなサービスの提供を期待して行うものである。このAPIを利用してそれを既存の技術と結びつけ新たなサービスを展開することをマッシュアップと呼んでおり、現在の流行である。

参考 IPSJ Magazine Vol47 No.11 Nov.2006

2007年6月6日水曜日

Web2.0とは何か?

Web2.0とは、新しい発想と新しい技術によって実現される新しいWebのあり方を言うが、その定義は非常にあいまいなのでまずWeb2.0的な要素を紹介する。

  1. 厳密な分類ではなくタグ付け→youtube,flickrなどに代表される。ユーザが自由にタグというものを設定でき、自由に情報を分類できる。
  2. ユーザによる貢献→楽天、アマゾンなどのユーザレビューがサービス価値を高める
  3. ユーザ参加型→ブログ等誰でも手軽に情報を発信できるようになった。
  4. 進歩的な分散ネットワーク→Winny,WinMXのようなP2P型ネットワークによりネットワーク負荷が軽減、マルチメディアの流通を加速
  5. リッチなユーザ経験→AjaxやFlashによりデスクトップアプリケーションに近い操作性を実現
  6. ユーザセルフサービスによるロングテールの取り込み→Google Adsense,Adwords,amazonのAPI公開など、本来のビジネスでは考えられなかった大多数の人が宣伝を行うことが可能となり、また売れ筋以外の商品を取り扱うことが実現してきている。
  7. 信頼に立脚した進歩的なコンテンツ作成→性善説を前提にしたコンテンツ作成、Wikipediaが代表例。

ビジネス、コミュニティ、テクノロジー「プラットフォームとしてのWEB」
テクノロジーによって便利なサービスが登場すると、それを使うユーザのコミュニティが形成される、コミュニティが十分に大きくなると、その上でビジネスが動き出す。ユーザがいなければビジネスは成立しないし、ユーザが使うサービスはテクノロジーなしにはありえない。そしてWeb2.0はこの3つの分野のプラットフォームとして効果的に機能することで、相乗効果を実現している。エンジニア・研究者、経営者・ビジネスマン、コミュニティ活動家という普段はかけ離れた関心を持つ各分野のリーダーたちがWeb2.0というという一つのキーワードに魅力を見出していることが、Web2.0現象の特徴でもある。
またテクノロジープラットフォームとしては、複数サービスを複合して新たなサービスを提供するマッシュアップ、コミュニティ・プラットフォームは、ユーザがシステムの一部として組み込まれる形となり、SNSやユーザの人気によりニュースサイトの見出しを変える機能などがあげられる。ビジネスプラットフォームとしてのWebとしてはロングテールやアフィリエイト広告、検索連動広告等があげられる。
コミュニティ情報基盤としてのWeb2.0
ここまで考察してきたようにWeb2.0の世界は、テクノロジーを組み合わせてサービスを作るのもユーザ、ビジネスニーズを作るのもユーザというユーザ(コミュニティ)参加モデルである。Web2.0はユーザの、ユーザによる、ユーザのための「コミュニティ情報基盤」を作る動きなのだと考えられる。Web2.0の世界では、ユーザの発言や行動履歴は、メタデータやWebサービスの共通形式を通じて集約される、集約されたデータは、検索サービスとして提供されたり、言語処理や統計の技術を使って多様な意味を与えられ、ユーザに提示される。リッチインタフェースの技術を使って可視化されることもある。これに反応したユーザの発言や行動の履歴がまた集約されて、コミュニティ情報基盤は一層強化されていくのである。
情報を「引き出す」を支援する仕組みが鍵になる。
Web2.0の成功例に挙げられるサービスは情報を引き出す仕組みを技術的に支援したものである。情報を引き出すにはいくつかのパターンが考えられる。

  1. ユーザが自己の内面の試行で引き出す
  2. ユーザが他社との対話から引き出す
  3. ユーザが記録から想起で引き出す
  4. 記録から関係情報を機械的に引き出す。

ビジネスとコミュニティの融合クラウドソーシング
不特定多数のインターネット上のユーザの活動を、適切なインセンティブによって組織化し、ビジネスに活かそうとする考え方は、ビジネスの世界でクラウドソーシングとして先行して注目されている。リナックスのプロジェクトのように集合知を利用して製品を作り上げようとするのである。
Web2.0的なアイデアを生み出す源流
Web2.0サービスを提供するベンチャー企業は積極的にその価値観や組織風土をマスメディアや自社のメディアで公開している。そこには従来の企業にはない、組織の創造性を育むユニークなモチベーションやインセンティブを生む試みが多数取り入れられている。

Web2.0企業の試みの例

  • プロトタイプ開発のためのラボ組織
  • 就業時間の20%を自主的な開発に当てなければならないGoogleの20%ルール
  • プロトタイプの短期集中開発を楽しみながら行うはてなの開発合宿
  • エンジニアが技術の情報交換を組織横断で行う草の根イベント
  • 部門を越えて情報交換を行う、社内ブログ、社内Wiki
  • 経験や能力の異なる2人が1つのプログラムを開発するペアプログラミング
  • 個人ブログの内容を重視して採用判断の材料にするブロガー採用

これらの試みは個人の才能の発掘と、才能ある個人同士の相互啓発を狙いとしている。

Web2.0的なサービスが生まれやすい組織に共通する要素

  • 創発的ディベロップメント
    個々の人の能力の総和というより、コミュニケーションによって知恵や才能を相互に引き出し、全体として高いピークパフォーマンスを実現する組織。
  • 芸術的プロダクション
    ユーザとの持続的インタラクションで次第に完成度を高めていくが完成というものは存在しない永久のベータモデル
  • 互恵的オープンネス
    標準プロトコルを通じて、個人間、サイト間で機能や情報を互恵的に共有する態度を持っている。

参考 IPSJ Magazine Vol47 No.11 Nov.2006

2007年6月4日月曜日

SNSの現在の展望

はじめに
Web上で利用者が急増しているのがmixiをはじめとしたソーシャルネットワーキングサービス(SNS)である。SNSでは、参加者がそれぞれに固有のページを持ち、他の参加者と相互にリンクすることで小規模コミュニティを形成する。コミュニケーションはその内部でのみ行われるため、不特定多数に情報が公開されているBBSやブログとは異なる密接なコミュニケーションが可能になる。SNSは参加者の同一性を特定しやすいため、コミュニケーション分析の研究対象として注目を集めている。またSNS上では大規模な社会ネットワーク分析手法を適用することで新たな知見が得られる可能性がある。本稿では、SNSの発祥から現在に至るまでの変遷について述べた上で、研究対象としてのSNSの位置づけについて議論し、今後の課題や展望について述べる。
SNSとは
snsは、日常的なコミュニケーションの支援を目的として、コミュニケーションの主体である個人の存在を明示化し、個人間の情報流通を実現するためのシステムであると定義できる。本稿では、このようなコミュニケーションの形態を個人指向コミュニケーションと呼ぶこととする。
SNSの歴史
個人指向コミュニティサイトがSNSと呼ばれるようになったのは、2003年に米国で開発された[Friendster]が最初であるとされている。Friendsterは急速にユーザを獲得し、開設後3ヶ月で100万人に達したことから注目されるようになった。日本でもmixiが普及し、snsの普及は全世界的に進行している。韓国のSNS[CyWorld]は韓国語圏でのサービスながら1300万のユーザを抱えており20代女性の95%が参加している。最近では類似サービスが続々と登場しており、どのサービスSNSであるのかを明確に区別することが難しくなっている。またトピック限定のSNS、地域限定のSNSなど、ユーザの範囲を限定したSNSも数多い。
SNS研究の現状
SNSでは、個々の参加者の振る舞いだけでなく、参加者間のつながりの総体としての大規模ネットワークを観察することができる。この特徴を利用して、工学やコンピュータ科学のみならず、社会学や心理学、物理学のアプローチを用いた研究が進められている。本章では、これらの研究をコミュニケーション分析、社会ネットワーク分析、および情報・知識共有の3つの観点に基づいて分類し、紹介する。
コミュニケーション分析
これまでの研究成果で、SNSを日記、すなわち知人とのコミュニケーションを主に利用するとの回答が80%に上った。また顔写真、実名を公開している参加者ほど新たな他社とのコミュニケーションを求め、非公開であるほど現実の知人関係でのコミュニケーションを求めている傾向が明確になっている。また参加者の国籍あるいは国民性と振る舞いの特性の関連を調査した研究などもある。
社会ネットワーク分析
社会ネットワーク分析は、社会学の中でも、人と人とを結ぶ関係に着目し、関係構造であるネットワークを分析することでコミュニティ全体の特性を明らかにする学問分野である。インターネットではmixiなどで用意に社会ネットワークを得ることができるために急速に研究が発展している。研究によれば
スケールフリー性(ノードとリンクの関係がベキ乗分布を示す)やスモールワールド性(ネットワーク規模に比して任意の2ノード間の距離が短くなるような性質、すなわち知人同士が特に密接に繋がったような状態)がわかってきている。
情報・知識共有
アクセス権限をどう設定するのかが難しい。どの人にどこまで情報を公開していいのか?コミュニティごとに情報のアクセス権を付与すべきかなど様々な問題が発生する。しかし大規模社会ネットワーク分析手法が整備されつつあり、これらを用いることによって実用的なアクセスコントロールが可能になると期待されている。
研究者のSNS
SNSに関する研究は、多大なデータを必要とすることから、実サービスの運営者と連携して進められることが多いが、研究者自らがコミュニティ支援システムを構築し、運用している例もある。Polyphonet Conferenceでは研究者間のつながりを一般のSNSの手法だけではなく、Web全体を情報源としてネットワークを抽出している。
SNSのオープン化とメタデータ
SNSは個人的なコミュニケーションのツールとしてだけではなく、幅広い利用が考えられる(適した人探しなどが考えられる)。用途によっては知人関係を公開することは問題ではない場合もあり、そのような用途に対してオープンなSNSを構築するための基盤が構築されつつある。代表的な例として、知人関係をメタデータとして記述するための
FOAFがある。
SNSの課題・展望
情報の信憑性
→SNSではデマ等が広がりやすく、また個人による過度な情報公開により犯罪が誘発されるといったことも出ている。今後は長期的な視野にたった
情報リテラシーが求められる。
コミュニケーションツールから情報流通の基盤へ→社会ネットワークとコミュニケーションは分離可能であり、コミュニケーションとは異なる社会ネットワークの利用方法が様々な分野で提案されている。広告やマーケティングの分野では、パーソナライゼーションの一環としてSNSの利用が模索されているほか、情報検索や推薦、組織内の人事評価など対象及び利用目的は多岐にわたる。将来的には前述のような認証基盤上に各種サービスが構築され、ユーザが自由に必要な機能を選択するオープンなSNSが普及するものと思われる。今後は実サービスを運用する企業と研究者の密な連帯によって、SNSの可能性を追求することが望ましい。

参考 IPSJ Magazine Vol47 No.11 Nov.2006

Web 世界の進化

新しいWebの展開
Web世界で様々な技術が揃い、ネットワーク環境も充実してきた現在、多くの人々が手軽にサービスを試し、取捨選択することで、人々が積極的にWeb世界に関わるように変わってきた。こんな環境変化の下で新しいビジネスが生まれ、育っている。
Web2.0とは?
最近よく耳にするWeb2.0、この意味合いは曖昧だが、以下の7項目でO'Reillyは特徴付けている。

  1. プラットフォームとしてのWeb
    これまでのソフトウェア販売のビジネスが成り立たなくなり、Webを通してのサービスの提供とそれを支える豊富なデータを持つことが必須になった。
  2. 集合知の活用
    Webから幅広いユーザの判断や認識を得ようということ。Wikipediaやブログなどが典型
  3. データは次世代の「インテル・インサイド」
    インターネットでより良い情報を提供するためにデータの重要性が増してきており、データの獲得競争が起きているということ。(オープンソース現象と相反するのでこれについては良くわからない)
  4. ソフトウェアのリリースサイクルの終焉
    サービスとしてのソフトウェアでは、ユーザにつかってっもらうサービスが重要で、ユーザの反応に迅速に答えることが大切である。それゆえ永久のβ版というのがはやっている。(まだまだこれからより良いサービスを提供していきますよという意思表示)
  5. 軽便なプログラミングモデル
    単純で汎用性が高いプログラミングが好まれる。既存のサービスと簡単に組み合わせて多くの革新を生むことができるからである。
  6. 単一のデバイスのレベルを超えたソフトウェア
    特定のPCプラットフォームに限定されない、新しいWebプラットフォームで動くアプリケーションが求められるということ。
  7. Web上でのフルスケールアプリケーションの実現
    GoogleのGmail、Googlemapsなど

最後に
web世界の進化はコモディティ化されたネットワーク環境やPC環境がしっかり整い、安心して使える社会インフラが提供されて始めて可能なわけで、このことを忘れてはならない。スパムメールの駆除、著作権問題、個人情報漏洩などまだまだやるべきことは多い